自筆証書遺言書保管制度について

今回の改正相続法のなかで、最も使えるのではないかと思えるのがこの自筆証書遺言書保管制度です。早速お客様と一緒に行ってきました。

まず、事前にネットで訪問日を予約します。法務局によって違うかもしれませんが、私が行った法務局は週2回で午前と午後の時間指定でした。

もちろん事前にお客様と何度も何度も書き直した遺言書は準備できていました。今回の改正の目玉は財産目録を自筆しなくて良い点です。それらはエクセルの表やコピーで作りました。1ページごとに署名捺印が必要なことはめんどくさいですが、以前と比べれば格段の負担軽減だと思います。

ただ、自筆の部分の本文に左右上下の余白規定があり、これが結構厳しいので事前にA4用紙に余白部分を鉛筆で表示してお客様には書いてもらいました。

登記官(遺言書保管官)は2名対応で本人確認後、お客様が用意した申請書と遺言書をもって自席に返り1時間ぐらい待たされたでしょうか。無事、「遺言保管証」を受け取りました。費用は3,900円。保管料と死亡後の通知料と思えば相当お値打ちと思います。ちなみに公正証書遺言は最低でもこれの10倍以上の費用はします。死亡後の通知は市役所との情報交換が前提でまだ未整備(?)みたいですが。

注意しなければならないのはこの制度は公正証書遺言と違って、遺言の中身、つまり遺言内容の有効性等についてはなんらチェックしてくれないてんです。遺言書に必要な形式のチェックしかしてくれない点です。

ある弁護士さんが、「私の財産一切をペットの猫のチビに遺贈する」の遺言書をもって法務局に提出され、法務局も検討された結果「受け付ける」とのことだったそうです。ペットの猫は法律上、モノ扱いで権利能力はないので、遺言の中身としては無効なのですが・・・・

ですから遺言の中身の有効性については十分専門家と相談されて作成されることが重要です。でもこの制度でいままで敷居の高かった遺言書の作成がぐっと身近なものになりました。改ざんや紛失の恐れはない家庭裁判所の検認手続は不要。死亡したときは相続人に通知までしてくれる。皆さんぜひ、ご利用ご活用をお勧めします。お客様は節年の想いがあったのでしょうか。保管証を法務局から受け取られるとホットしたお顔をされ帰って行かれました。

自筆証書遺言書保管制度について語る